賃貸の襖張替えは誰が費用負担？退去時トラブルを防ぐポイントと相場について

「退去のときに襖が破れているって言われたけど、修理代って全部こちら持ち？」

そんな不安を感じたことはありませんか？

賃貸物件では、退去時に「思った以上の費用を請求された」という声も多く、戸惑う方が少なくありません。

この記事では、費用の相場や負担の原則、契約書で注意すべき点などをわかりやすく解説します。知っておくことで、退去時の思わぬ出費やトラブルを未然に防ぐことができます。

賃貸で襖が破れたときの費用負担は誰？原状回復について

賃貸物件で生活していると、うっかり襖を破ってしまうこともあります。紙製でデリケートな襖は、ふとした拍子に破れやすく、「修理費は誰が払うの？」と悩む方も多いでしょう。

ここでは、賃貸住宅における原状回復の基本や、借主と貸主の費用負担の境界についてわかりやすく整理します。退去時の思わぬ請求を防ぐためにも、判断のポイントをしっかり把握しておきましょう。

賃貸の襖は消耗品？借主が費用負担するケースと原則

襖は和室に欠かせない建具ですが、その表面は和紙やビニール紙などでできており、日常的な使用のなかで劣化が進むため消耗品として扱われることもあります。しかし、すべての劣化が借主負担となるわけではありません。

一般的な原則は以下の通りです。

たとえば、小さな子どもが落書きしてしまった、ペットが爪で破った、家具をぶつけて穴が開いたなどは、借主側の過失とされ、修理費用を請求される可能性が高くなります。

また、賃貸契約においては「原状回復義務」が借主にありますが、その範囲はあくまで通常損耗を除いた分が対象です。とはいえ、契約書に「特約」として借主の負担が拡大されている場合もあるため、書面の確認は非常に重要です。

国交省ガイドラインに基づく自然損耗と過失の違いとは

「これは自然な劣化か、それとも過失か？」を判断するうえで参考になるのが、国土交通省が公開している『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』です。

このガイドラインでは、以下のように区別されています。

特に襖紙の破れは、ガイドライン上でも「借主の故意・過失による損耗」の代表例として挙げられており、実際の修繕費負担が求められるケースが多くなります。

一方で、古さに起因するたわみや浮き、自然な紙の変色などについては、貸主負担とされるのが基本です。ただし現場の判断は契約内容に左右されるため、契約書や重要事項説明書に「襖の破損はすべて借主負担」といった特約がないかを必ず確認しましょう。

退去時に多いトラブルと襖張替えの費用相場

賃貸物件を退去する際、特に和室のある物件では「襖の破損」に関するトラブルが多く見られます。借主としては納得できない請求を受けたり、予期しない修繕費を求められたりすることもあります。

ここでは、退去時に起きやすい襖関連のトラブル例と、張替え費用の相場、そして費用を負担すべきケースについて整理しておきましょう。

よくある破損・請求例とトラブルの背景

襖は日常的に使われるため、破れやすい建具のひとつです。特に以下のようなケースでは、借主が修繕費を求められることが多く、トラブルに発展しやすくなります。

いずれも、「過失による破損」と判断されれば、借主に修繕費が請求される可能性があります。

一方で、「経年劣化」による色あせやシミ、紙のたわみなどについては、自然損耗として本来は貸主側が対応すべき内容です。それにもかかわらず、退去時に「全体を張り替える必要がある」として高額な請求が発生する例も見られます。

トラブルを防ぐには、退去前に状態を確認し、管理会社へ早めに相談することが重要です。

襖の張替えにかかる費用相場と借主が負担すべきケース

襖の張替え費用は、サイズや素材によって大きく異なります。以下に代表的な相場をまとめました。

襖張替えの費用相場（サイズ別）

費用をめぐる「高額請求」への対策とは？

賃貸退去時に襖の張替え費用として相場よりも高額な請求を受けるケースは珍しくありません。トラブルを防ぐためには、契約内容の確認や明細のチェックが欠かせません。冷静に対応するためのポイントを押さえておきましょう。

契約書や特約の確認ポイント

まず確認すべきは、契約書や特約に襖の扱いがどう記載されているかです。襖は通常、消耗品として扱われ、経年劣化や通常使用による破れであれば、原則として貸主が費用を負担します。

ただし、以下のような記載には注意が必要です。

このような特約があっても、国土交通省の原状回復ガイドラインと照らし合わせたときに合理性を欠く内容であれば、全額請求が認められない可能性もあります。不明点がある場合は、遠慮せずに不動産会社に内容の説明を求めましょう。

見積もりや明細の開示を求める方法

契約に問題がなかったとしても、実際の費用が相場より明らかに高いと感じた場合は、内訳を細かく確認することが重要です。

一般的な襖の張替え費用は小サイズで2,000円台から、大きいもので7,000円ほどです。この価格感から著しく逸脱するようであれば、納得いく説明や根拠があるかを確認するのがトラブル回避の第一歩です。

納得できない場合は、消費生活センターや賃貸トラブル相談窓口への相談も視野に入れてみましょう。

※使用する紙のグレードやデザインによって費用は変動します。

借主が費用を負担するのは、以下のようなケースです。

一方、自然な劣化や長期使用による損耗であれば、費用は原則として貸主負担になります。契約書に「特約」がある場合はその内容も確認しておくと安心です。

まとめ

賃貸物件の退去時、襖の破れや汚れがあると費用負担をめぐってトラブルになりがちです。借主・貸主の負担区分は、破損の原因や契約内容、ガイドラインの理解がカギになります。相場や原状回復の原則を知っておくことで、不当な請求を避ける判断ができます。納得できる退去のために、契約確認と冷静な対応を心がけましょう。